会社設立に伴う税務関連の届け出

開業直後は税務関連の届出が多くあります

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1.税務の届出


 会社設立の登記が完了した後は、すみやかに所轄の税務署、都道府県税事務所及び市役所等の3か所に、会社を設立した旨を記載した届出書を提出する必要があります。各届出書についてはそれぞれ提出期限が定められています。万が一期限内に提出できなかった場合には税務上の様々なメリットを受けられなくなってしまい、多額の納税を余儀なくされることもあるので十分注意が必要です。定款や登記簿等の添付書類の用意も必要となることから、提出期限直前になってあわてることの無いよう余裕をもって準備してください。

(1)所轄税務署へ提出する書類

 次の各届出書を納税地の所轄税務署長宛に提出します。税務署の受付時間は平日の8:30から17:00までとなっていますが、各税務署設置の時間外収受箱に投函することにより提出することもできます。なお郵送による提出も可能です。  

@法人設立届出書
法人を設立した場合には、その設立の日以後2月以内に「法人設立届出書」を納税地の所轄税務署長宛に提出しなければなりません。必要事項を記入した届出書に法人代表者印(実印)を押印し、主に次の添付書類を添えて提出します。
ア 定款等の写し
イ 登記事項証明書(履歴事項全部証明書)又は登記簿謄本
ウ 株主名簿(氏名、住所、持株数株等を記載)
エ 設立趣意書
オ 設立時における貸借対照表

A青色申告の承認申請書
青色申告を選択する場合には、設立事業年度終了の日と、設立日以後3月を経過した日とのうちいずれか早い日の前日までに「青色申告の承認申請書」を納税地の所轄税務署長宛に提出します。青色申告とは、一定の会計帳簿を備え付けて正確な記帳及び申告を行っている納税者に対し、種々の税務上の特典を与える制度です。ほとんどの法人は、設立第一期目から税務上有利な青色申告を選択しています。青色申告を選択した場合には主に次のような特典を受けることができます。
ア 欠損金の翌期以降7年間の繰越控除
イ 欠損金の繰戻しによる法人税額の還付
ウ 設備投資をした場合等の特別償却及び税額控除
エ 更正通知書への理由付記、推計課税による更正処分等の禁止

B給与支払事務所等の開設届出書
役員や従業員への給与の支払がある場合や税理士・弁護士等の専門家への報酬の支払がある場合には、その給与・報酬等の支払を取扱う事務所等を開設した日(通常は法人設立日)から1月以内に「給与支払事務所等の開設届出書」を納税地の所轄税務署長宛に提出します。この届出により税務署から源泉税の納付書が郵送されてきます。給与・報酬等の源泉税が課される支払が生じた場合には、徴収した源泉税につきこの納付書を使用して納付手続きを行います。

C源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書 兼、納期の特例適用者に係る納期限の特例に
関する届出書
給与・報酬等の支払が生じた場合には、原則として、その支払の都度所得税を徴収し、徴収した月の翌月10日までに納付しなければなりません。つまり源泉税の納付手続きは毎月行うのが原則です。これに対し、給与の支給人員が常時10人未満である等一定の要件を満たした源泉徴収義務者については、任意の選択により、7月10日と1月20日の年間2回のみの納付が認められます。この適用を受ける場合には、適用を受ける月の前月末までに、「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書兼納期の特例適用者に係る納期限の特例に関する届出書」を納税地の所轄税務署長宛に提出します。

D棚卸資産の評価方法の届出書
決算期末における在庫棚卸商品等の評価方法につき、原則法である最終仕入原価法による原価法以外の方法により評価する場合には、設立第1期の確定申告書の提出期限までに「棚卸資産の評価方法の届出書」を納税地の所轄税務署長宛に提出します。この届出書の提出は任意となっており、原則法を採用する場合には、提出する必要はありません。

E減価償却資産の償却方法の届出書
建物附属設備や構築物、器具備品等の価償却資産の減価償却限度額の計算につき、原則法である定率法以外の方法により計算を行う場合には、設立第1期の確定申告書の提出期限までに「減価償却資産の償却方法の届出書」を納税地の所轄税務署長宛に提出します。この届出書の提出は任意となっており、原則法を採用する場合には、提出する必要はありません。

(2)都道府県税事務所及び市区町村役場への提出

 法人を設立した場合には、各都道府県及び市区町村の定める期限内に「事業開始等申告書」を納税地の所管都道府県税事務所等及び市区町村役場に提出しなければなりません(ただし、東京都23区内に設立した法人においては区役所への提出は不要です)。必要事項を記入した届出書に法人代表者印(実印)を押印し、次の添付書類を添えて提出します。窓口での提出の他、郵送による提出も可能です。


@定款等の写し  
A登記事項証明書(履歴事項全部証明書)又は登記簿謄本

(3) 消費税の届出書

 消費税はその名のとおり一般消費者が負担をする税金であり、法人や個人事業主などの商売を行っている事業者については消費税の負担を生じさせない仕組みとなっています。事業者は、売上等に伴って顧客から預かった消費税(仮受消費税)と、仕入れ等に伴って仕入先等に支払った消費税(仮払消費税)とを相殺して、仮受消費税が多ければ国に納付し、仮払消費税が多ければ国から還付してもらうことになります。これらはすべてバランスシート上の資産(仮払消費税)や負債(仮受消費税)の増減により行われ、事業者は消費税を納税したとしても損益計算には影響しないこととなります。

 このように消費税を納付したり還付を受けたりするのは、その事業者が「消費税の課税事業者」である場合のみとなります。消費税の課税事業者とは、次イからハのいずれかに該当する事業者で、この場合、各事業年度終了後2カ月以内に消費税の申告書を提出し消費税を納付若しくは還付を受けることとなります。

イ 前々事業年度(これを「基準期間」という)の課税売上が1,000万円を超える事業者
ロ 基準期間の課税売上は1,000万円以下であるが自ら課税事業者を選択した事業者
ハ 法人設立から2年以内の基準期間がない新設法人で、事業年度開始時の資本金が1,000万円以上の事業者

上記のいずれにも該当しない次のニ及びホのような事業者を免税事業者といいます。免税事業者は消費税を申告・納税する義務がなく、還付を受ける権利もありません。
ニ 基準期間の課税売上が1,000万円以下である事業者
ホ 法人設立から2年以内の基準期間がない新設法人で、かつ、事業年度開始時の資本金が1,000万円未満の事業者

ニ又はホのいずれかに該当した場合には自   動的に免税事業者となるのが原則ですが、免税事業者に該当する場合であっても、自ら選択して課税事業者となることが可能です。課税事業者となるためには、課税事業者の適用を受けようとする課税期間の初日の前日まで(適用を受けようとする課税期間が事業を開始した日の属する課税期間である場合には、その課税期間中)に、「消費税課税事業者選択届出書」を納税地の所轄税務署宛に提出する必要があります。

 仕入れ等にかかる仮払消費税が売上等にかかる仮受消費税よりも多くなることがあらかじめ予想される場合には、あえて課税事業者を選択しておけば消費税の還付を受けることができる可能性があります。法人設立当初で設備投資や諸経費がかさむ一方で、あまり売上が期待できない場合は仮払消費税の額が仮受消費税の額を超え、消費税の還付を受けられる可能性があります。また、大規模な設備投資が予定されている場合には仮払消費税の額が比較的大きくなり消費税の還付を受けられる可能性があります。また、売上の大部分が輸出売上となる場合などは、輸出売上については仮受消費税を認識しないため、仮払消費税が仮受消費税よりも多くなり消費税の還付を受けられる可能性があります。

 ただし、いったん課税事業者を選択すると、2年間はその課税事業者を継続しなければならないので、向こう2年間の事業計画を綿密に立てて十分に検討する必要があります。

(4)役員報酬額の決定

  会社が役員に対して支給する役員報酬を損金とするためには、「定期同額給与」、「事前確定届出給与」又は「一定の利益連動給与」のいずれかに該当するものとしなければなりません。これらのうち、最も一般的に採用されているのは定期同額給与です。

 定期同額給与とは、「その支給時期が1か月以下の一定の期間ごとで、かつ、その事業年度の各支給時期における支給額が同額である給与」をいいます。つまり簡単にいうと、役員報酬を毎月同額支払っている場合をいいます。この場合、税務署への事前の届出書の提出は必要なく、役員報酬は不相当に高額である場合などを除き原則として損金算入となります。毎月同額の役員報酬以外の臨時の給与、例えば盆暮に賞与を支払った場合などは損金となりません。また役員報酬を期の途中で増額した場合は、その増額部分についても原則として損金となりません。定期同額給与は一度金額を確定したら永遠に増額できないわけではなく、毎事業年度開始の日から3か月以内であれば増額改定をすることができます。毎事業年度開始から3か月以内に適正な役員報酬の額を再度設定する必要があります。

「事前確定届出給与」とは、その事業年度中に支払う臨時給与を予め確定し、当該確定金額を事前に税務署へ届け出て支給する役員給与のことです。原則として役員に対して支給する臨時給与は役員賞与として損金不算入となりますが、この事前確定届出給与については損金算入が認められます。この適用を受けるためには原則として事業年度開始の日から4カ月以内に所定の届出書を納税地の所轄税務署長宛に提出し、かつ、必ずその届出た金額を支給する必要があります。経営環境が急激に変化する昨今の経済環境をみると現実的な選択肢ではありません。

 「一定の利益連動給与」とは、利益に関する指標を基礎として算定されるいわば業績連動給与です。これは同族会社等には適用がなく、有価証券報告書等に記載して開示しなければならないことなど種々の厳格な条件もあり、新設法人にとっては選択肢とはなりづらいでしょう。

(5)源泉徴収

@納期限の特例の承認を受けていない場合
  役員や従業員への給与の支払がある場合や、税理士、弁護士、経営コンサルタント等の専門家への報酬の支払がある場合には、原則として、その支払の都度所得税を徴収し、徴収した月の翌月10日までに納付しなければなりません。「給与支払事務所等の開設届出書」を納税地の所轄税務署に提出することにより、税務署から会社宛に源泉税の納付書が送付される。徴収した源泉税についてはこの納付書を使用して金融機関又は所轄税務署の窓口にて納付手続きを行なします。期限までに納付がない場合には、加算税や延滞税が課されることがあります。

 

A納期限の特例等の承認を受けている場合
 上記@の納付期限について、給与の支給人員が常時10人未満である等一定の要件を満たした源泉徴収義務者が「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書兼納期の特例適用者に係る納期限の特例に関する届出書」を提出して承認を受けている場合には、毎年1月から6月までに徴収した源泉所得税を7月10日までに、7月から12月までに徴収した源泉所得税を翌年の1月20日までに半年分をまとめて納付することができます。

(6)年末調整

 「年末調整」は、給与の支払を受ける一人一人について、毎月の給料や賞与などの支払の際に源泉徴収をした所得税額と、その年の給与総額について納めなければならない年税額とを比べて、その過不足額を精算する手続で、いわば従業員等の確定申告を会社が代行するようなものです。大部分の給与所得者は、この「年末調整」によってその年の所得税の納税が完了し、改めて確定申告の手続をとる必要がないこととなります。年末調整は、その年最後に給与の支払をする月中(多くの場合は毎年12月)に行ないます。  

 提出をしない場合には、以下の法定償却方法が自動的に適用されます。
・建物・・・定率法(平成10年3月31日以前に取得したもの)
      定額法(平成10年4月1日以降に取得したもの)
・建物以外の有形減価償却資産・・・定率法
・無形原価償却資産・・・定額法

 このような償却方法を選択したくない場合には、設立第1期の確定申告の提出期限までに減価償却資産の償却方法の届出書を提出します。

(7)法定調書等の提出

@所轄税務署へ提出する法定調書
法定調書とは、給与、報酬、不動産使用料等の支払者に対して所轄税務署への提出が義務づけられている書類をいい、給与、報酬、不動産使用料等の支払の種類によりそれぞれ様式が定められています。法定調書の提出期限は、例外的な場合を除き、その支払をした年の翌年1月31日となっています。法定調書を税務署へ提出する場合には、それぞれの法定調書ごとに合計表を添付して提出する。主な法定調書には次のようなものがあります。
イ「給与所得の源泉徴収票」←給料、賞与など役員及び従業員への支払
ロ「退職所得の源泉徴収票」←退職金など役員及び従業員への支払
ハ「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」
←税理士報酬、弁護士報酬、経営コンサルタント等の専門家への報酬の支払
ニ「不動産の使用料等の支払調書」←事務所賃貸料、駐車場利用料等の支払

A市区町村へ提出する法定調書
地方税法においても給与・賞与等の支払について「給与支払報告書」の提出が義務づけられている他、退職金の支払について「特別徴収票」の提出が義務づけられています。「給与支払報告書」の提出先は、受給者のその支払年の翌年の1月1日現在の住所地の市区町村となります。「特別徴収票」の提出先は、その支払年の1月1日現在の住所地の市区町村となります。これらの調書の提出期限は、その支払年の翌年1月31日となっています。なお、「給与支払報告書」を市区町村へ提出する場合には、「給与支払報告書(総括表)」を添付して提出します。

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